りんかん倶楽部とは、はるか昔から林隠市に伝わる古い隠習に起因する秘密結社の名称。この地域に古くから住む者で知らない者はなく、決して外部の者に語られる事なく秘匿されながら許容されている。
元々は地域の守り神とされるイワナガヒメの呪いで起こるとされる病害や不作から地域を守るため、新月と満月の晩に、イワナガヒメが恨むコノハナノサクヤビメに扮した巫女を集を持って輪淫、つまり輪姦する儀式から始まった。
巫女は輪姦に参加する男の大切な存在、恋人や妻、母や娘、姉や妹などの血縁者でなくてはならず、輪姦後、懐妊すればイワナガヒメの怒りが収まり、平和と豊穣が約束されるとされた。
懐妊しなかった巫女はイワナガヒメの怒りを沈めるため雛流しと言われるさらなる儀式が行われた。雛流しとは、男性の精液を満たした藁で巫女を簀巻きにして、生きたまま巫女を川へ流すという生贄の儀式だが、この残酷な儀式は室町後期になると代わりに紙でつくった雛人形を川へ流すことで代用される事となる。
江戸時代になると人口増加とともに儀式的な要素が弱まり、夜這いの様に性に奔放な人々のための淫らな風習として姿を変えて行く。大正時代に林隠学園の元となる私立学校が開かれると教員や学生たちが主導するりんかん倶楽部という秘密結社となって現代に伝わる。
